コラム / 活用ガイド
LINE・メールを AI エージェントで回す
LINE でブロックした人には、二度と届きません。自動化で狙うのは「たくさん送る」ことではなく、「送る相手を間違えない」ことです。AI エージェントに任せるのは、数字の集計、タグの設計と操作、配信の設計と文面まで。メールも構造は同じです。ただし API で送れるぶん、送信は必ず確認画面を通します。
- 扱うもの
- 友だち
- タグ
- 配信
- 流入経路
- メール
ステップ 1オントロジー:出てくるモノと関係
業務に出てくるモノ(エンティティ)と関係を 1 枚にして、AI エージェントに渡します。
この図で答えたい問い
- 先週の新規友だちは何人で、ブロック率はどのくらいか(純増とブロックは並べて見る)
- 流入経路ごとの友だち追加数は何人か。LP のクリック数に対する追加率はいくつか
- このタグ(例: 休眠-90日以上)には何人が入るか。作ったり付けたりすると、確認画面は何回出るか
- このキャンペーンの対象者のうち、反応した人・予約した人は何人か
- この配信の宛先は、どのタグの条件か

図の元になった mermaid を見る(AI エージェントにそのまま渡せます)
mermaid
flowchart TB
CTA["友だち追加ボタンのクリック<br/>LP 側の計測"] -->|"経路の URL へ送る"| SRC["流入経路<br/>key: 経路 URL"]
SRC -->|"経由して追加される"| FR["友だち<br/>key: ユーザー ID<br/>状態: 有効 / ブロック"]
SRC -->|"経路名のタグを付ける"| TAG
FOLDER["タグフォルダ<br/>分け方の軸"] -->|"持つ"| TAG["タグ<br/>key: タグ ID"]
STAGE["ステージのタグ<br/>1 人に 1 つ"] -->|"タグの一種"| TAG
HIST["行動履歴のタグ<br/>いくつでも"] -->|"タグの一種"| TAG
FR -->|"持つ"| TAG
FR -->|"持つ"| INFO["友だち情報"]
TAG -->|"条件になる"| SEG["セグメント<br/>タグの条件"]
SEG -->|"宛先になる"| MSG["配信<br/>一斉 / ステップ / 出し分け"]
MSG -->|"反応を生む"| EV["反応"]
FR -->|"起こす"| EV
EV -->|"タグを更新する"| TAG
EV -->|"至る"| CV["CV<br/>key: 予約 ID / 注文 ID"]
CV -->|"突き合わせる"| CRM["顧客<br/>売上の正本"]
FR -.->|"同じ人か(ID 連携)"| CRMエンティティの一意キーと、友だちの状態を表で見る
エンティティと一意キー
| エンティティ | 一意キー(同じ 1 件の見分け方) | 説明 |
|---|---|---|
| 友だち | ユーザー ID(LINE が払い出す) | 配信が届く相手。運用ツールの内部 ID もあるので、どちらを正本にするか先に決める。メールではメールアドレスで、本人が変えうるので内部 ID を別に持つ |
| 流入経路 | 経路 URL | 経路ごとに発行する追加用の URL。1 本を使い回すと、どこから来たかは後から分からない |
| 友だち追加ボタンのクリック | LP 側の計測イベント | LP で測れるのはここまで。追加数とは必ずずれる |
| タグフォルダ | フォルダ名 | 分け方の軸 1 つにつき 1 つ(ライフサイクル・流入経路・キャンペーンなど) |
| タグ | タグ ID(名前は「軸-値-条件」) | 付けた時点の状態を表す。削除の口が無い |
| セグメント | タグの条件 | 配信の宛先。その時点の人数で判断する |
| 配信 | 管理画面側の配信 | 一斉・ステップ・出し分け。運用ツールの公開 API に送る口は無い |
| 反応 | 配信 + ユーザー ID + 種別 | 配信に対して友だちが起こしたこと |
| CV | 予約 ID / 注文 ID | 来店・予約など、成果として数える出来事 |
| 顧客 | 顧客 DB の ID | 売上の正本。ID 連携した人だけ突き合わせられる |
友だちの状態
| 状態 | 意味 | この状態に入る条件 |
|---|---|---|
| 有効 | 配信が届く。有効友だち = 総数 − ブロック | 流入経路などから友だち追加されたとき |
| ブロック | もう届かない。総数には含まれたまま(メールでは配信停止・バウンス) | 友だちがブロックしたとき |
AI にさせてよい操作
- AI が行う友だち・タグ・友だち情報・流入経路を読み取り、集計する(取れない数字は「未取得」、辿り切れなかったら「N 人以上」)
- 承認してからタグ・タグフォルダを作る(削除の口が無いので、終わったら「終了」を付けて改名する)
- 承認してからタグを付ける・外す(一括は 1 回の件数に上限を置く。呼ぶたびに確認画面が 1 回出る)
- 承認してから友だち情報の項目・フォルダを作る
- 承認してからメールを送信する(API で送れる。取り消せないので、AI は下書きまで)
- 人が行うLINE で配信する(一斉・ステップ・出し分け)
- 人が行う流入経路の URL を発行し、経路ごとにタグを付ける設定をする
ステップ 2業務フローの棚卸し

図の元になった mermaid を見る(AI エージェントにそのまま渡せます)
mermaid
flowchart TB
subgraph R1[" "]
direction LR
J1["1. 運用の設計(目的・KPI・あいさつ・リッチメニュー)<br/>立ち上げ時・見直し時"] --> A1["運用設計書を 1 枚にまとめる"]
A1 --> H1["目的を 1 つに決め、案を採るか決める"]:::human
H1 --> S1["LINE 運用の設計"]:::out
end
subgraph R2[" "]
direction LR
J2["2. 友だち獲得の入口とキャンペーンの特典<br/>立ち上げ時・施策ごと"] --> A2["障壁から特典の案を出す。すぐ使える特典にする"]
A2 --> H2["特典の中身と提供コストを決める"]:::human
H2 --> S2["オファー設計"]:::out
end
subgraph R3[" "]
direction LR
J3["3. 流入経路と経路タグの対応表<br/>経路を足すたび"] --> A3["経路名の案と対応表を作る"]
A3 --> H3["管理画面で URL を発行し、タグの設定をする"]:::human
H3 --> S3["友だち追加ボタンの計測"]:::out
end
subgraph R4[" "]
direction LR
J4["4. LP の友だち追加ボタン<br/>実装時"] --> A4["経路ごとの URL を貼り、クリックの計測を付ける"]
A4 --> H4["計測 ID の発行"]:::human
H4 --> S4["友だち追加ボタンの計測"]:::out
end
subgraph R5[" "]
direction LR
J5["5. 月次の数字の確認<br/>毎月(定期実行)"] --> A5["読み取りと集計。取れない数字は「未取得」"]
A5 --> H5["見直すかどうか"]:::human
H5 --> S5["LINE 運用ツールの友だち・タグ操作"]:::out
end
subgraph R6[" "]
direction LR
J6["6. タグ・友だち情報の設計<br/>施策のたび"] --> A6["既存のタグを見て、人数を数えてから設計書を書く"]
A6 --> H6["設計に合意する"]:::human
H6 --> S6["LINE 運用ツールの友だち・タグ操作"]:::out
end
subgraph R7[" "]
direction LR
J7["7. タグの作成・一括付与<br/>設計に合意した後"] --> A7["1 操作ずつ呼ぶ"]
A7 --> H7["確認画面で許可するか断るか"]:::human
H7 --> S7["LINE 運用ツールの友だち・タグ操作"]:::out
end
subgraph R8[" "]
direction LR
J8["8. 配信文・ステップ配信の設計表<br/>毎月・施策ごと"] --> A8["文面の案と設計表(標準機能で作れるかの列つき)"]
A8 --> H8["どの文面を使うか"]:::human
H8 --> S8["LINE 運用の設計"]:::out
end
subgraph R9[" "]
direction LR
J9["9. LINE の配信<br/>週 1〜2 回から"] --> A9["行わない(送る口が無い)"]
A9 --> H9["管理画面から送る"]:::human
H9 --> S9["—"]:::out
end
subgraph R10[" "]
direction LR
J10["10. メールの送信<br/>配信のたび"] --> A10["文面を下書きし、送信のツールを呼ぶ"]
A10 --> H10["確認画面で許可するか断るか"]:::human
H10 --> S10["—"]:::out
end
subgraph R11[" "]
direction LR
J11["11. キャンペーンの結果集計<br/>終了時"] --> A11["状態のタグを数え、歩留まりを出す"]
A11 --> H11["終了したタグを改名する"]:::human
H11 --> S11["LINE 運用ツールの友だち・タグ操作"]:::out
end
R1 --> R2 --> R3 --> R4 --> R5 --> R6 --> R7 --> R8 --> R9 --> R10 --> R11ステップ 3AI エージェントで回す PDCA

図の元になった mermaid を見る(AI エージェントにそのまま渡せます)
mermaid
flowchart TB
P["Plan<br/>AI: 運用設計書・タグ設計書を書く<br/>既存のタグを読み、人数を数える"] --> H1["【人】目的を 1 つに決め、設計に合意する"]:::human
H1 --> D1["Do<br/>AI: タグを 1 操作ずつ作り、付ける"]
D1 --> G("確認画面<br/>何を・誰に・何件"):::gate
G -->|"許可"| D2["タグが付く<br/>宛先の用意まで"]
G -->|"断る"| STOP["AI は別の経路を探さず、報告して止まる"]
D2 --> H2["【人】LINE は管理画面から配信する"]:::human
D2 --> MAIL("メールは送信も確認画面<br/>AI が下書き、人が許可"):::gate
H2 --> C["Check<br/>AI: 数字とキャンペーンのタグを数える<br/>取れない数字は「未取得」"]
MAIL --> C
C --> A["Act<br/>AI: 一言でいうと + 次の配信・セグメントの案"]
A --> H4["【人】採るか決める"]:::human
H4 --> P段ごとの分担を表で見る
| 段 | AI がやること | 人が決めること | Skill |
|---|---|---|---|
| Plan(計画) | 運用設計書とタグ設計書を書き、対象の人数と確認画面が出る回数を出す | 目的を 1 つに決め、設計に合意する | LINE 運用の設計/LINE 運用ツールの友だち・タグ操作 |
| Do(実行) | タグを作り、付ける(宛先を用意するところまで)。メールは文面を下書きする | 確認画面で 1 件ずつ許可する。LINE は管理画面から送り、メールは送信の確認画面で許可する | LINE 運用ツールの友だち・タグ操作 |
| Check(確認) | 友だちの純増・ブロック・キャンペーンのタグ・経路ごとの追加数を数える。メールはクリックを見る | LINE の開封率とクリック率は管理画面で見る | LINE 運用ツールの友だち・タグ操作/友だち追加ボタンの計測 |
| Act(改善) | 「一言でいうと」から始めた報告と、次のセグメント・配信の案を出す | 採るかどうか決める | LINE 運用の設計 |
ステップ 4Skill の構成

図の元になった mermaid を見る(AI エージェントにそのまま渡せます)
mermaid
flowchart TB
REQ("LINE・メールについての依頼") --> Q("何を頼まれたか")
Q -->|"設計・文面・リッチメニュー"| PLAN["LINE 運用の設計<br/>入口"]
Q -->|"数字を見る・タグを作る"| DATA["LINE 運用ツールの<br/>友だち・タグ操作<br/>入口"]
Q -->|"LP の友だち追加ボタン"| CTA["友だち追加ボタンの計測"]
PLAN -->|"宛先のタグ作り"| DATA
PLAN -->|"LP の導線"| CTA
PLAN -->|"特典の中身"| OFFER["オファー設計"]
DATA -->|"LINE の配信を頼まれた"| NO["【人】管理画面で送る"]:::human
PLAN -->|"メールの送信"| SEND("送信のツール<br/>確認画面で人が許可"):::gate入口LINE 運用の設計
導線・あいさつ・リッチメニュー・月次計画・ステップ配信・セグメントを設計する。設定も配信もしない
中身を見る
入力
- 業種
- 目的
- 友だち数
- 来店の周期
- 標準機能だけか、運用ツールがあるか
手順
- 目的を 1 つに絞る
- 4 つの数字(純増・ブロック率・クリック・来店や予約)を並べる
- あいさつメッセージを 3 つのまとまりで組み、リッチメニューは常設の導線だけにする
- 配信は週 1〜2 回から。1 回の配信に 1 テーマ・1 つのボタン
- ステップ配信は 3 層にし、標準機能で作れるかの列を付ける
返すもの
- 運用設計書 1 枚
- 管理画面へ入力するための設計表
守ること
- 配信の設定はしない
- 他業種の周期をそのまま当てはめない
- 出典の無い業界平均を書かない
入口LINE 運用ツールの友だち・タグ操作
友だち・タグ・友だち情報・流入経路の実データを読み書きする
中身を見る
入力
- 期間(日本時間)
- 経路やタグの ID
- 判定の基準
手順
- 期間を日本時間で決める
- ID は一覧から引き、推測しない
- 最後のページまで辿る。途中で止めたら「N 人以上」と書く
- 書き込みは、既存を確認 → 予定を文章で見せて合意 → 1 操作ずつ呼ぶ、の順
- 月の上限に当たったら再試行せず、いつ戻るかを報告する
返すもの
- 集計表
- 実行の結果
守ること
- 配信を頼まれたら、API に口が無いと答え、宛先のタグ作りまでを引き受ける
- 確認画面で断られたら、別の経路を探さずに止まる
- 取れなかった数字を 0 にしない
友だち追加ボタンの計測
LP の友だち追加ボタンを、経路ごとに測れる形で実装する
中身を見る
入力
- 経路の数と分け方
- 管理画面で発行した URL
- ボタンの位置
手順
- 経路ごとに別の URL を発行してもらう
- URL は加工せずに貼る
- LP 側のラベルと管理画面の経路名を揃える
- 経路名は頭文字(lp- / ad- / social- / mail- / store-)で揃え、年も入れる
返すもの
- 実装コード
- 経路とタグの対応表
守ること
- クリック数と追加数は必ずずれる。指標を 2 つに分ける
- 「誰がクリックしたか」を前提にした設計を提案しない
- 仮の計測 ID を入れない
オファー設計
友だち限定の特典やキャンペーン特典の中身を設計する。文面は書かない
中身を見る
入力
- 買わない理由(障壁)
- 提供できるコストと条件
- 業種
手順
- 障壁を 1 つに特定する(価格・手間・不安・時期)
- 障壁に合う型を選ぶ(保証・無料体験・初回価格・同封・期限)
- 提供コストと条件を数字で書く(誰が、いくらで、いつまで)
- 法規を確かめる(二重価格・打消し表示・景品の上限・業種の規制)
- 何を見て良し悪しを決めるかを先に書く
返すもの
- 特典の設計
- 良し悪しを決める基準
守ること
- 実施しない割引を表示しない
- 「そのうち使える」特典にしない(関心の無い人が集まり、ブロックが増える)
- 特典を強くするだけで CV を上げようとしない
メールも構造は同じ
メール配信も、オントロジーの図の一部を差し替えれば同じ形になります。大きく違うのは API で送れる点です。送信は取り消せない外部反映なので、「AI が下書きし、人が確認画面で許可する」段階に留め、「例外だけ人に上がる」段階へは進めません。
| 要素 | LINE | メール |
|---|---|---|
| ユーザー ID の実体 | LINE 側が払い出すユーザー ID | メールアドレス(本人が変えうるので、内部 ID を別に持つ) |
| 「離脱」の呼び名 | ブロック | 配信停止、バウンス(不達) |
| 流入経路の焼き付け | 経路ごとの追加 URL とタグ | 登録フォームごとの経路パラメータと属性 |
| 送信の扱い | 公開 API に口が無く、管理画面で送る | API で送れる。だからこそ送信のツールは確認の対象にする |
| 計測の欠損 | アプリ内の追加成立を Web から追えない | 開封はプライバシー機能で当てにならず、クリックだけを信じる |
このページは、コラム『マーケティングエンジニアの教科書』の 第 2 章「AI Agent の使いこなし方」・第 9 章「LINE 運用を自動化する」 をもとにまとめたものです。